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「渚にて 人類最後の日」 を読み終わりました。 [雑談]

 前々から読んでみたいと思っていましたが、目の調子が悪くて中々細かい字が読めなかった為に、果たせませんでした。
 今回、右目がかなり回復してきたので、老眼鏡を使いながら、短期間で読むことができました。

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 内容説明

 第三次世界大戦が勃発し、世界各地で4700個以上の核爆弾が炸裂した。
 戦争は短期間に終結したが、北半球は濃密な放射能に覆われ、汚染された諸国は次々と死滅していった。
 かろうじて生き残った合衆国の原潜〈スコーピオン〉は汚染帯を避けてメルボルンに退避してくる。
 オーストラリアはまだ無事だった。だが放射性物質は徐々に南下し、人類最後の日は刻々と近づいていた。
 そんななか、一縷の希望がもたらされた。合衆国のシアトルから途切れ途切れのモールス信号が届くのだ。生存者がいるのだろうか? 最後の望みを託され、〈スコーピオン〉は出航する……。

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 血湧き肉踊るでもなし、不思議な内容に感激するでもない、また、パニック小説でもない。
 放射能による人類滅亡を目前にして、人はどう生きるのか、暮らすのかが描かれた小説だった。
 シンプルな事象に対し、ある期間だけ生き残る事が許されたオーストラリアの南端の人達の、愛に満ちた内容である。
 残された命の中で、やりたいことを実現したいと行動しながらも、他人を思いやる人達が描かれている。
 最終章は、自分の最後を待てずに薬に依って亡くなっていく。

 この本についての感想で、若い人の中で「あまりにも悲劇的で後味が悪かった」と書いたネットでの感想を読んだ。 
 だけど、私はそうは思わなかった。
 人は最後には必ず死んでいくものであるが、若いうちはそんな事は頭の隅にもないから、そんな感想を得るのであろう。

 私達の年代になると、自分の死期が遠くとはいえ見えてくる。
 遅くとも、20年位先には訪れるのだ。
 そしてその時期は、家族それぞれに時間の隔たりを伴ってやってくるのだ。
 例えば、伴侶が亡くなった後に、下手をすれば長い時間を一人で過ごすことになる可能性もある。

 今回の小説では、わずか数日でもその日々を、しかも自分も体調を崩して苦しい中で過ごさねばならないことに耐えられず、または残された人にその重荷を背負わせることを嫌って、ほとんどの方が薬品で自殺していくけれども、その行為に対しては、自分には納得できる気がした。
 多分この辺が、若い人には理解しがたい内容だろう。
 私にとっては、読み終わった後には静かな感動が感じられ、そして今後の人生に対する考え方が、いくらか見えてきた様な気がする小説でした。


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