SSブログ

コラム:インドに存在するEV普及よりもHV優遇すべき構造問題 [電気自動車の闇]

 ロイター
 https://jp.reuters.com/opinion/forex-forum/OQLTESGKQFIFNLFHQN4TUWPLF4-2024-02-07/
**************************
 世界的なEV需要の鈍化傾向を踏まえれば、世界第3位の自動車市場であるインドにとって、トヨタ自動車などが得意とするハイブリッド車(HV)を受け入れる妥当性を強めている。
 
 現在のインドではハイブリッド車の税率は43%を超えるが、インド国産EVの税率はわずか5%だ。

 インドは発電自乗は、石炭に大きく頼っている。
 EVがクリーンになるのは、EVに電力を供給するエネルギー網によって決まるのだ。

***************************
 世界中でトヨタ製のハイブリッドは締め出しを食っている。
 不当な税金をかけられたり、そもそも法律で輸入を規制されたりと、あからさまだ。
 それでも、昨年からハイブリッドが、EVよりも販売量は増えてきている様だ。
 やはりそれは市場原理の為せる技だが、インドや中国等のアジア地区では事情が異なっている様だ。

 インドは大量に原油を輸入しており、国際収支を悪化させる原因と成っている。
 だから、国内で大量に生産できる石炭で発電した電力で、EVを走らせたい思惑は理解できる。
 例え、温暖化ガスを大量に排出してもそうせざるを得ないのである。
 その上、未だに粗悪で有害排気ガスを大量に排出する古いディーゼルやガソリン車等が沢山走っている為、慢性的な大気汚染に苦しんでいる。

 参考:インド 首都で大気汚染 最も深刻なレベルに 市民生活に影響も
 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231109/k10014252461000.html

 発展途上国であるインドは、このような事情からEVを普及させたいと思っている。
 しかし今は車両価格がネックと成っている。
 インドの平均年収は日本円で約275万円程度であり、日本の平均年収より約165万円低い。
 そして、インド国内の電気料金は、およそ日本の半額以下と安い。
 対して、ガソリン価格は日本と同程度であるため、庶民にとってのランニングコストはEVの方がありがたいだろう。

 もし国内で低価格EVを製造できれば、短距離専用の足として、トゥクトゥクの様に急速に普及は進むだろう。
 そしてそれは、欧米が販売する贅沢で航続距離の長い「金持道楽のEV」ではなく、小型の低価格なEVだ。
 インド国内で50%を超えるシェアを持つスズキ自動車は、早急に低価格のEVをインド国内で製造し、販売したほうが良いかもしれない。
 最近、中国の自動車メーカーが、低価格EVの開発を急いでいるようだ。
 価格の安さに関しては、今のところ中国に勝てる国は無い。
 日本メーカー等は、簡単にシェアを奪われる事になりそうだ。

 参考:中国メーカー台頭、欧米で低価格EV開発競争が加速
 https://jp.reuters.com/economy/industry/YXI6F5D5PZIZZFDRJWRZDGL2KI-2023-12-11/

 EVは構造がシンプルである為に、例え技術が未熟でも、バッテリーやモーターと制御ユニットさえ入手できれば、小さな町工場でも生産できる。

EV-トゥクトゥク.JPG

 日本のジャーナリストは、先進国でEVの普及が進んだ時に、トヨタやHONDAのシェアを中国のEVに奪われるかもしれないと警告を発していた。
 しかし欧米先進国の消費者は低価格のEVに興味は無い。
 電気料金も高騰している欧米では、デメリットばかり目立ってあまり歓迎されないのだ。
 つまり価格や性能では、現代の化石燃料の小型車には、同程度の航続距離を持つEVは叶わない。
 ランニングコストが同じなら、高価で使い勝手の悪いEVをわざわざ賢い消費者は買わないのは当たり前だ。
 これまでEVが少しは売れていたのは、政府の補助金と買ったユーザーの自己顕示欲を満たす事ができる事だった。

 今後、日本の自動車メーカーは、アジア等での低価格車のシェアを心配したほうが良いと思う。

 参考:各市場で中国製EVに存在感(アジア太平洋地域)
 https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2023/2913cad1e0fb5144.html

 全く、日本のジャーナリストは無知、無理解ばかりで何の役にも立たない様だ。

nice!(0)  コメント(2)